会員の井上さんが医療者に対し、がんの語りを発表

2020年10月24日午後、札幌医科大学で開かれた「がん専門医療人セミナー」に、会員で語り手登録者の井上美智代さん(札幌)が講師として参加、「大腸がんとともに」と題して語りました。セミナーに参加したのは、がん医療に携わる医師、看護師、薬剤師、管理栄養士ら12人。コロナウイルス感染防止の観点から、オンラインを使い、カメラを通じて、別室の参加者に語る方式となりました。

語りの前に、法人理事で緩和ケア認定看護師でもある木村恵美子さんが、Narativeを基本としたキャンサポの「病の語り」について説明し、医療者ががん体験者の話を聞く意義について紹介しました。

井上さんは、夫婦で飲食店を経営していた5年前、夫が病気で亡くなり、自ら腹部の激痛に悩まされながら、「大腸がんステージⅣ、肝転移、腹膜播種」の診断を受け、手術、抗がん剤治療を経て、がんとともに生きる今を15分にわたり、語りました。自分の病気について、ネットなどで十分調べたうえで、店を続けるためにふさわしい抗がん剤を選択したことや、これまで95回続けている抗がん剤治療を踏まえ「がんと闘う」から「がんとともに生きる」に変化した経緯について語りました。語りによって自分の気持ちを整理できたことについても話しました。

語りの後、チャットでの質問を受け付け「転移のある患者にどう話すのがよいか」「井上さんも経験したようだが、間違った食事療法を続け、体力を失っている患者をどう説得すればよいか」といった、具体的な課題についての質疑も行われ、回答後は参加者から「8888(パチパチパチ)」の拍手も送られていました。

語りを終え、井上さんは「今、こんなに元気でいられるのは医療者のみなさんのおかげ。前を向いて生きている私をずっと見ていてほしい」とメッセージを述べました。