北海道の4大学(北海道大、札幌医大、旭川医大、北海道医療大)が共同で行っている市民公開講座が、11月30日、北大病院で開かれ、本会会員で乳がん体験者の森中かおりさん(室蘭市在住)が語りを発表しました。講座テーマは「新たながん医療の動き」で、主に医療者や研究者がゲノム医療や陽子線治療などについて話しましたが、森中さんは患者の立場から「がんとともに強く生きて」と題して語りました。
YouTubeでライブ配信され、中標津町の会場と結び、質問を受けるなどしました。
森中さんは、7年前に乳がんと言われ、手術、放射線治療を体験しました。骨への転移も経験し、術後の抗がん剤治療の副作用に苦しみ、サードオピニオンでやっと体に合った治療を受けられたと同時に、理解ある医師に巡り合えた経緯などを語りました。
森中さんの語りについて、主催者の1人として当日参加した北大病院腫瘍センター長の白土博樹さんは、講座後、次のようなメールを寄せてくださいました。
「森中さんの語りは、現在のがん医療の実態や問題点をご指摘いただきつつ、さらに、今苦しんでいらっしゃる方には、希望やセカンドオピニオンの重要性が伝わる、すばらしい内容だったと思います。特に医療者の我々は、日ごろ外来や病棟診察の場面ではお聞きできない、心の底の辛さに関してのお話で、深く考えさせられました」
語りを発表した森中さんは「今回、このような場で語ることができて、大変うれしく思いました。私の経験は、たくさんのがん患者さんが経験していることの、ごく一部でしかありません。がん医療は、これからもっと進むと思いますが、がん患者が自分の状態を語る機会が増えると良いな、と思います」と話しています。
当日はネットのライブ中継で各会場がつながれましたが、リアルタイムで見られなかった方も大勢おられたことから主催者では、現在、期間限定で、再公開できないか、検討中とのことです。決まりましたらあらためてお知らせします。
(写真は北大病院提供)