内藤さんの「語り」に感動広がる 札幌・幌南小で公開授業

がんの語り手が参加する道徳の公開授業が、12月5日、札幌市立幌南小学校の5年生のクラスで開かれました。札幌市のがん教育実践研究の一環。キャンサーサポート北海道の語り手養成講座を終え、語り手登録している内藤郁子さんが「乳がんになって」と題し、スライドをまじえ、15分間語りました。
がんについての事前アンケートでは、「死」「怖い」「辛い思いをする」などマイナスのイメージが強くあった子供たちですが、身じろぎもせず真剣に語りを聴き、内藤さんを支えた力を考え、次々発言しました。夫、両親、友達、病気と闘う人のインスタグラムなど「周りの人の力」と、生きようという強い意志、趣味のクライミングはじめ好きなことをやりたいという気持ちなど「自分の力」に気づき、内藤さんがいまを一生懸命生きている姿を理解しているようでした。
授業の最後に書いた感想文には「私ががんになったら死ぬと思ってしまうかもしれませんが、内藤さんのように、何があっても私は私という気持ちを持って、あきらめずに1日1日を大事にしたいです」「つらいのは自分だけじゃない、と考えたい」などが書かれていました。父親ががん経験者の子は「僕ががんになったらすぐしゅじゅつをしてもとのせいかつにもどって父さんのようにたっせいかんをあじわいたい」と書いてくれました。
授業後、参観した教師らの検討会では、がん教育はあくまで教師が主体で行うものという考え方が強調されました。キャンサポとしては教師の皆さんとしっかり打ち合わせをして、共通の認識を醸成したうえで、授業に臨むことが肝要だと感じました。参観した教師からは、「感銘を受けた。私の授業でも語りをとりいれてみたい」という発言もあり、心強く思いました。
語りを終えた内藤さんは「子供たちの反応を見て、胸が熱くなる場面も多く、あらためて語りは私にとって意味のあるものだと感じました」と感想を話しました。
幌南小の希望で、5年生のもう2クラスで、19日、同様な授業を行う予定です。3クラスの授業での感想文などをもとに、今後、キャンサポとしての分析、研究も考えています。(理事・宇佐美暢子)